なんとなく昔から面白そうだなと思っていて、まぁ自分のことなので恐らくは自分に向いているという直感があり、そこで漸くのこと腰を据えて手を出してみたのが、写真なのだ。
❝仰々しく登場しているが、この被写体であるSONYのRX100を取り上げたいというより、どちらかと言うと、これを撮ったカメラの映りを見てもらいたくて、それは不思議なくらい面白いような絵が出て来るRICOHのGRである。❞
とは言っても、趣味のものだから、ぼちぼちマイペースでやっており、それでも数えてみると、はや二年が経つだろうか。
❝車内広告もないローカル線に乗っていて、三月のまだ寒い日、山の空気は冷たく、朝の柔らかい日差し、座席のクッションに陽が当たり、梅の木が見え、春は近づきつつあり、他に人はいなく何気なくシャッターを押したのだが、思いがけず上出来な写真が撮れていた。何が気に入ったかと言えば、ダイナミックレンジという専門用語があるが、暗と明、寒と暖、遠と近の振幅が一枚に凝縮されているのである。❞
手探りながら、一歩づつ前に進み、さすがにカメラの使い方くらいはわかってきたかも、また、撮った写真を繰り返し見ていると、これって好きだな、と方向性が示されてくるような。
❝屋根瓦の立派な古い家屋に、酒屋兼食堂なのか、タバコと酒の自販機が自己主張し、赤い郵便ポストに宅急便の集積案内に保健所の看板が並び、朝の掃き掃除と水撒きは欠かさず清潔感が漂う。この写真を気に入ってはいるが、一体どこがいいのか不得要領なのだが、頭を捻ってみたところ郷愁という言葉がピッタリかもしれない、つまり被写体の勝利と言えるか。❞
どこかに向かっているのは間違いないが、それがどんなところかは未だ見当もつかず、まだまだ先に進めるぞ、と好きなことなら苦労を苦労と思わずに、かなり楽しんでいる。
❝徒手空拳で写真に挑んで、身をもって学んだのは、つまり画質とは諧調のことなんだと、山の連なりの陰影や、空の広がりの表現や、アスファルトの影の持ち上がり、ここからF値の選定や、さらに大きなセンサーへの憧れが芽生えたのであった。❞
【終わり】
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