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大阪百景4

実を言えば、もうストック分が底をつこうとしており、新しく撮りに出掛けなきゃならないのだが、しかし丁度いいのかもしれないぞ。これまで“大阪百景”という括りを後付けに、良さげなものをピックアップし、それぞれに雑感を述べてきた。それはそれで悪くなかったが、最近、どこに向かっているのか見当もつかん、という点が気になってしょうがない。これからは、少し頭を使い、その線でもって写真を撮っていけたらな、そうすれば、もうちょっとまとまりのある感じになるのではないか。今回で一旦打ち切りにして、ここらで仕切り直しをしたいと思っている所存であり、それでは皆様、また会う日まで暫しのお別れなのだ。

31 技術的な話になるが、昼日中だから光量は多くて、F値を絞ってもシャッタースピードは早くなり、するとどうだろう、道行く人達はやたら気取ったポーズで歩いているではないか、全くの被写体ブレなしに瞬間を捉えれば、えらくキレが出ることを発見する。

32 ハレとケという概念に従えば、日本に来た外国人旅行者にとっては非日常となり、観光地ならではの晴々しい雰囲気に、なんとはなしにこちらにも感染してきて、記念写真を撮っているところに否応無く感応するのは、もはや定番と言ってもいい。

33 旅先で記憶の補完として写真を撮ろうとする人々と、カメラを持ち歩き己の琴線に触れるものを探しあぐねている連中との間には、表面上は同じ行為にもかかわらず深い断絶があるような気がして、それは前者のほうが純粋に喜んでいる様子だろうか。

34 女の人がこれを見てどう思うのか、それはわからないけれど、自分にその気はないつもりだが、特殊な嗜好を持つ男にとっては感じるものがあるかもしれない、と想像できるというのが我ながら不思議であり、えらく性的な側面があるやもしれぬ。

35 夏場の西成においては、暇を持て余した連中はといえば、冷房の無い部屋には居られず、他愛も無い話で憂さを晴らさんと、その青空率は驚くほど高くて、人々は路上にたむろしているのだが、この写真に関するなら、例のCOVID-19狂想曲を暗喩するだろうか。

36 すれ違いざまにシャッターを押してみれば、近くのものは大きく動くので残像感たっぷりとなり、遠くのものは少ししか動かないから辛うじて輪郭を保っており、ボケてるようなブレてるような両方を併せ持った一風変わった写真となっている。

37 カメラをやってるよ、と言ったら、一体何を撮るのと聞かれ、振り返ってみれば、よくわからないまま、取り敢えず撮ってみよう、撮ったもので判断すればいい、というノリであったような、それなのに未だもって何故この写真を選んだのか上手く説明できない。

38 この人相の決して良くない御仁は、商売柄、似たもの夫婦みたいに段々えべっさんと似てきたのか、髭の生やし方はそのままであるし、首に巻いたマフラーも色や柄はそれと意識して洒落のめし、まぁ面白い被写体というのは結構そこらに転がっているものだ。

39 今宮戎の人の波に揉まれ、しっかり構えるなんて無理、暗すぎてシャッタースピードを稼げない、被写体がブレまくり、という苦しい状況の中、臨場感溢れる一瞬をよくぞ捉えたものだと思うが、それよりも、なんでこの写真を撮ったんだ!? 勿論いい意味で。

40 まるで、お膳立てされた映画のスチル写真みたいに出来過ぎの感があるが、当然ながら足で稼いだ、謂わば偶然を必然へと変えた一枚なわけで、自己満足の範疇を越えて、これを多くの人に見てもらいたい、そんな気分にさせられる。

【終わり】

カテゴリー: 写真

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