あれっ、ねこってのは相当に変な存在であるような? 人間社会に寄生しながらも、ペットであるのか、野良であるのか、どっちつかずな感じであり、おまけに奴らの習性として、それほど人間様に従順というわけでなし、だから道の真ん中を明らかな質量を持った毛むくじゃらが我関せずに大儀そうに横切っていたりすると、それは豪くシュールという風に見えてしょうがないんだが!
ところが、いざ写真を始めてみると、これがいい被写体なんだな! そしてネコに対し初めてと言っていい位の関心を向けてみれば… 一般にカメラを持っていると否応なく周囲から警戒されるもので、しかし、人は彼奴等の写真を撮っているならば深く納得するらしく、それ程までに、この存在は我々を蕩し込まずにおかないらしい、つまり、その居場所さえも無くなったら、人間社会は相当にヤバイってことなのかも?
世の中、猫派と犬派に分かれるものらしく、個人的にはピンポイントで柴犬がツボなんだけど、かと言って、前者をないがしろにするつもりは毛頭なく、その魅力に開眼したつもりでおり、それじゃ、何故に後者の写真を披露しないのか、しにくいのか、と言えば、ズバリ、奴らの自由気儘に徘徊しているのを羨望せずにはいられない、それは生存の厳しさと表裏一体でもある、といった生き様に帰結するからだろう。
1 その透徹した眼差しは、こちらの思惑を見通さずにはおかなく、かの夏目漱石は「我輩は猫である」が書かれたのも、さもありなん… 考えるに、そんな芸当が出来るケダモノと言えば、人間の横に居ながらも一線を画す、奴の他に置いていないだろう。
2 ギュッと胸が締め付けられるような光景であるが、その理由の一つは、あちらこちらネコのエサやり禁止と書かれた張り紙の如何に多いことか、人間のエゴに対する罪悪感の裏返しといったところ、この子猫がその後どうなったのかは知る由もない。
3 寡聞にして知らなかったが、やたらめったら耳の先っぽが千切れられてるなと思っていたら、実のところ去勢済みという印しであるらしい、それまで喧嘩好きの獰猛な連中だな、ヤレヤレ、と誤解していたようだ、でもやっぱり当たらずとも遠からずかも。
4 淡路島のコンビニにいたネコなんだが、観光客に甘やかされ人間馴れしてて、写真を撮らせてくれたお礼に、200円ほどのチーズケーキを与えたら、狂ったように喰らい付いてきたもんだ、ベロの表面は大根おろし器のようにザラザラなのが印象的だった。
5 ここで柴犬なんだが、何故これほどまでに心を捉えて離さないのか我ながら不思議、キツネ色に焼けた毛並みは干し草みたいな匂いと相俟って、もう食べちゃいたいくらい、しかし被写体としては猫みたいな緊張感に欠けるきらいがあるか。
6 猫と言えばコレ、人間を警戒して手の届かぬところまで速やかに立ち去らん、子供の頃、逃げるものは追い掛け回したい性質なもんで、結局は、つかまえることなど出来たためしは無かった訳だが、原体験がそれだから、こっちのほうがそれっぽい。
7 ワレ、ナニ、昼寝ノ邪魔シテクレトンジャイ、表情から察すると、そう翻訳したくなるほど、猫ってホント剣呑な顔をしているな、と感心するやら呆れるやら、どうも女子のほうに奴が人気あるのは、そのコワモテなところかも、と一寸思ったりする。
8 好奇心は猫をも殺すという諺があるらしい、ほとんど外界には無関心、我が道をマイペースに歩む、というイメージであり、こんな感じで、身を乗り出してくるのも珍しいだろう、食いしん坊万歳であるのか、もしかして、コーヒー好きとは俺と気が合うな。
9 ここに立って、ふと足元を見たら、アレって感じで、こ奴が木の根元に横たわっているのに気付き、面白い一枚が撮れたわけだが、調べてみると、キジトラという種らしく、とても警戒心が強いと説明してあり、それは保護色として進化したのかと納得する。
10 ちょこんと窓枠に座って、春の陽気に誘われたのか、うつらうつらしているみたい、過って落っこちそうな気もするが、奴らの運動能力を見くびるなかれ、二階くらいの高さなら難なく着地してしまう、宝の持ち腐れというのが猫の猫たる所以なのだ。
【終わり】
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