ここは梅田のど真ん中に位置するお初天神、カメラ片手に彷徨っていたら、あまり上手く行かないなと、いい加減諦めの気分となり、飲食店が肩を寄せ合う路地を抜けようとした時、思わず足が止まったのは、風景に溶け込んで一台の自転車が佇んでいた、ほとんど一目惚れと言うくらいの衝撃を受けて、どこに被写体が転がっているかわからないもんだ、取り敢えず、写真を何枚も撮ってみた訳だが、その時すでにこのアイディアが頭に浮かんでいただろう。
自身がロードバイクに乗っていて、打てば響くみたいに思うところあり、そこで思い出されるのが、何でも最高のレースマシンとは、たった一回の本番を走っただけで壊れてしまう、それ程までにチューンナップされたもの、そうF1界の誰か有名な開発者が語ったらしい、競技用機材として性能を追求された最新のカーボンフレームバイク、これもまたご多分に漏れず、随分遠くまで来たもんだと驚きの反面、日常の実用性からしたら、地に足が着いてないような気配がそこはかと…
それは炭素繊維強化プラスチックのこと、無理矢理に喩えるとペットボトルの延長線上みたい、これも技術の進歩により生み出され、従来の金属に取って代わった最新の素材だけれど、ふむ、自転車に乗れば乗るほどに、性能がすべてではなくて、乗るからには楽しくなければ、と気付かされることしばし… この金属ならではの、しなりを生かした、血の通ったような、一生モノの耐久性を誇る、昔ながらのクロモリフレームに原点回帰するのも、よくある話なのだ。
1 いつも大阪城に行くと、再建された本丸よりも石垣のほうに想像力をたくましくするもの、つまり、時の風化を耐え忍び、年輪が刻まれ、それだけの貫禄を放つ、背後にある岩の積み重ねに負けず劣らずマッチングしている、この自転車とは只者ではない。
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